給湯器ってどう選べばいいの? ガス給湯器と灯油給湯器を徹底比較!
給湯器の交換をしようと思うと、灯油・ガス・電気・太陽熱と、意外に多くの種類があって戸惑った経験がある方も多いと思います。当然のことながら、種類によってメリット・デメリットがありますので、知らずに採用すれば後悔するはめになるかも知れません。そこで、今回は灯油とガスの給湯器に焦点を絞って、それぞれの特徴などを徹底比較します。
この記事を読むことで、ガス・灯油給湯器に関する基本的な知識を得ることができます。交換や修理を検討している方には損のない情報ばかりなので、最後までおつきあいくださいね。
1.給湯器の基礎知識
1-1.給湯器とは?
電気、ガス、石油、太陽熱など利用して水をお湯に変え、家庭内に供給する機器を給湯器といいます。人によっては、湯沸かし器や温水器と呼ぶこともあるでしょう。
1-2.種類
給湯器は、主にエネルギー源となるものによって種類が分けられます。
- ガス給湯器
- 石油給湯器(灯油給湯器)
- 電気給湯器
- 太陽熱温水器
1-3.最近の傾向など
最も普及しているのがガス給湯器となります。また、灯油給湯器はランニングコストの面から、寒冷地や都市ガスの供給のない地域で人気です。しかし、最近はオール電化の普及などに伴い、電気給湯器へ取り替える傾向にあります。
2.ガスと灯油の給湯器について
2-1.ガス給湯器について
2-1-1.ガス給湯器の種類とメカニズム
ガス給湯器は、加熱の仕方によって「貯湯式(ちょとうしき)」「瞬間式(しゅんかんしき)」2種類に分けられます。
貯湯式は事前に100~300リッターほどのお湯を80~90度ぐらいまで温めておく方式です。必要に応じて水を混ぜて温度を下げて給湯します。ちなみに、温める際の原理としてはガスコンロでお湯を沸かすのと同じです。
瞬間式は金属製のパイプの中に流れている水を火で温める方式のことを指します。パイプの中を流れながら加熱されることで少量の水が連続的に加熱され、一気に湧き上がるのです。ガスや水の量を多くしたり少なくしたりすることで温度を調節します。
2-1-2.貯湯式のメリット・デメリット
貯湯式のメリットは以下のとおりです。
- 単純構造のため、故障が少ない
- お湯の温度が安定している
- ガス配管・排気設備の負担が少ない
また、以下のようなデメリットもあります。
- 炊き上がるまで時間がかかる
- 常に保温するため、ランニングコストが高い
- お湯をためる構造のため、設備が非常に大きい
- 水圧が弱い
- 湯切れすることがある
2-1-3.瞬間式のメリット・デメリット
瞬間式のメリットは以下のとおりです。
- コンパクトサイズ
- 必要とする分だけお湯を沸かせるのでランニングコストが低い
- 湯切れの心配がない
- 水圧が強い
また、以下のようなデメリットもあります。
- お湯になるまでにタイムラグ(数秒~数十秒)が発生する
- 湯沸かし音が発生する
- 料金設定が高いガス会社の場合、ガス代が比較的高い
2-2.灯油給湯器について
2-2-1.灯油給湯器の種類とメカニズム
灯油給湯器は、灯油バーナーを使った給湯器です。燃費が良くて経済的なため、お湯の量を多く使う浴槽などの給湯器として使われてきました。以前は半貯湯式と呼ばれる種類が主流でしたが、現在は瞬間式が普及しています。
2-2-2.メリット
- 出力がパワフル
- 石油価格によっては経済的
2-2-3.デメリット
- 石油価格が高いと非経済的
- 大型の燃料タンクが必要
- 定期的に給油しなければいけない
- 作動時に灯油独特の臭いがする
3.ガスと灯油の給湯器比較
3-1.比較、差について
3-1-1.かかる費用(購入価格や燃費など)
ランニングコストの面で見ると灯油給湯器のほうが安いでしょう。しかしながら、初期費用(購入費や設置費など)やメンテナンスコストはガス給湯器のほうが安いため、費用で考えるとそれほど差はありません。
3-1-2.使い勝手について
使い勝手の部分に関しては、圧倒的にガス給湯器のほうが優れています。灯油給湯器の場合は、定期的に給油が必要になるからです。
3-2.ガス給湯器に向いている場合
都市ガスを利用している家庭では、特に便利でしょう。取り付けてしまえば、特にメンテナンスなどをせずに使い続けられるからです。LPガスの場合、ボンベがガス切れすることがあるため、やや使いにくいでしょう。
3-3.灯油給湯器に向いている場合
灯油給湯器はランニングコストが安いため、お湯を多く使う家庭では特に有用です。たとえば、寒冷地ではお湯を多く利用するため、採用率が高いといわれています。また、ホテルなどでもお湯を大量に使うため、石油ボイラーを採用していることが多いようです。
3-4.選び方のポイント
給湯器を選ぶ上でのポイントは、家族構成に最適の給湯能力を見極めることです。まず、ガス給湯器の場合には、号数という値で給湯能力が表されます。号数とは「水温+25℃のお湯を1分間に出せるリッター数」です。つまり、16号なら16リッター、24号なら24リッターのお湯を出すことができます。シャワーでは17.8号、台所・洗面所では4.8号が必要です。そのため、普段から2カ所同時に利用する方は24号を選ぶようにしましょう。とはいえ、3カ所を同時に使う場合、27.4号となり、24号でも足りないですよね。しかし、実際に3カ所同時に使用する場面はあまり多くありません。さらに、使用したとしても短時間のことがほとんどなので、24号あれば問題ないでしょう。ちなみに、1人暮らしで16号、2~3人家族が20号、4人以上で24号というのが一般的な最適号数です。
灯油給湯器の場合はkW(kcal/h)という単位で給湯能力が表されています。実際の給湯能力は「毎分出湯量(しゅっとうりょう)=給湯負荷(kcal/分)/(湯温-水温)」という計算式で導き出すことが可能です。たとえば、46.5kW(40,000kcal/h)の灯油給湯器が、水温5℃(冬)で42℃のお湯を出すと、「(40,000kcal÷60分)/(42℃-5℃)=約18.02L/分」となります。ちなみに、水温20℃(夏)だと仮定すると「約30.30L/分」です。冬場の給湯能力にばかり目が行きがちですが、そのほかの季節のことも考えておきましょう。
4.ガス・灯油給湯器の設置と交換について
4-1.設置や交換の仕方
設置や交換を行う際には主に「ガス会社」「メーカー」「給湯器販売業者」のどれかに依頼して行います。灯油給湯器の場合は「メーカー」か「給湯器販売業者」の2択です。
ガス会社に依頼するメリットは安心感があるという点が挙げられます。しかし、給湯器本体が割高なので、初期費用が高いのがデメリットです。メーカーに直接依頼するメリットは、やはり安心感が挙げられます。また、修理パーツの在庫を常に持っているため、修理やメンテナンスの際などに迅速な対応が期待できるでしょう。デメリットとしては、給湯器本体が割高な点です。さらに、基本的に工事業者は外注するため、業者を選ぶことはできません。ほかにも、取り付ける給湯器が、同一メーカーのものに限られてしまうというのもネックです。給湯器販売業者を選ぶメリットは、多くのメーカー・機種から選ぶことができるという点が真っ先に挙げられます。また、給湯器本体を安く購入することが可能です。人気が低い機種などの場合、8割近い大幅値引きが行われるケースもあります。デメリットは、業者の数が多いので、しっかりと選ばないとトラブルに発展するケースがあることでしょう。
4-2.業者を選ぶ際のポイント
- 対応が丁寧で素早いか
- 料金がいくらになるのか
- アフターサービスはしっかりしているか
一番重要なのは対応が丁寧で素早いかどうかです。対応が悪い業者などの場合、見積もりなどで値段が安くても、詐欺まがいのことをしてきたり、作業が適当だったりするリスクがあります。とはいえ、費用の安さも重要です。安い買い物ではありませんし、できるだけ安く提案してくれた業者を選びましょう。また、アフターサービスも重要です。頻繁に故障するものではありませんが、初期不良が発生する場合もありますし、運が悪ければ数年で故障することもあります。アフターサービスがしっかりしていない業者を選ぶと後悔することが多いでしょう。
4-3.トラブルの対応窓口について
トラブルが発生した場合には国民生活センター(消費生活センター)に相談しましょう。国民生活センターは国民生活に関する情報の提供・調査・研究を行うとともに、消費者紛争を解決するための法的手続きを実施することを目的とした組織です。独立行政法人ですので安心して相談してください。
4-4.アフターフォローについて
アフターフォローは軽視されがちですが、非常に重要です。業者によって異なりますが、5年以上の保証を行っている業者を選ぶようにしましょう。優良業者の場合、10年もアフターフォローを行っている場合がありますよ。
4-5.注意点
悪徳業者に注意しましょう。悪徳業者は設置が適当だったり、勝手に中古品を使用したり、あるいは、料金のかさ増しをしたりするようなこともあります。給湯器はガスや灯油など、少し間違えれば大事故になるような燃料を使用するだけに、業者選びには注意が必要です。
5.ガス・灯油給湯器にまつわるQ&A
5-1.よくある故障や不具合はなんですか?
一番多いのは、お湯が出なくなったり温度が安定しなくなったりする不具合です。温度センサーが劣化するなどして発生します。また、燃料漏れもよくある不具合です。お湯を使うと給湯器の近くで異臭がする場合には漏れている可能性があります。非常に危険なので、修理・交換しましょう。また、お湯をためる際に、決められた水位までたまらないという不具合もよくあります。
5-2.寿命はどのぐらいですか?
減価償却では6年です。しかし、実際には10年程度は使えることが多いでしょう。ただし、使用頻度や使用環境などによって大きく変動します。寒冷地では使用頻度が多い上に環境も厳しいため、消耗が大きくなるでしょう。
5-3.工期はどのぐらいですか?
もともと設置してある給湯器がどのようなタイプのものかによって変わってきます。現在普及している一般的な給湯器であれば、半日~1日で交換が可能です。
5-4.灯油給湯器は火事のリスクはないのですか?
燃料の種類に限らず、火事のリスクはあります。特に、長く使っているものは危険です。製品評価技術基盤機構(NITE)によると、石油給湯器や屋内式ガス瞬間湯沸かし器などの事故について調査したところ、事故の多くが10年以上経過した製品で発生していました。特に、14年以上経過すると事故が増えることもわかっています。
5-5.灯油はどうやって購入するのですか?
基本的にはガソリンスタンドと契約し、定期的に灯油を持ってきてもらう方法が一般的です。
まとめ
いかがでしたか? 今回はガス・灯油給湯器の仕組みや種類などについてご紹介しました。一般的なのはガス給湯器で、灯油給湯器はややマイナーです。それぞれにメリット・デメリットがあるので、一概にどちらがいいとはいえません。お住まいの地域の環境などを考慮して、最適の給湯器を選びましょう。購入する際には給湯器販売業者に依頼するのをおすすめします。ガス会社やメーカーなどに依頼すると割高になってしまうからです。しかし、ガス会社やメーカーとは違い、悪徳業者も多少は紛れています。給湯器販売業者を利用する際にはポイントを抑えてしっかりと吟味しましょう。給湯器の交換や修理を検討している方は、今回の記事を参考にして賢くトライしてくださいね!