ガス給湯器を停電後に使用するときの注意点! 停電後の正しい扱い方

台風や地震などの自然災害で停電が起きると、電気機器が使えなくなってしまいます。そのたびに、ガス給湯器は使うことができるのか疑問を覚える方が多いでしょう。中には、使える種類もありますが、十分に注意して使用しなければなりません。誤った使い方をすると、不完全燃焼を起こし体に悪影響を及ぼすおそれがあります。

本記事では、停電後の正しいガス給湯器の使い方を詳しく解説していきましょう。

  1. ガス給湯器は停電時も使えるのか?
  2. 停電時のガス給湯器に関する注意点
  3. ガス給湯器の停電後の対応を解説
  4. 停電後のガス給湯器に関してよくある質問

この記事を読むことで、停電後にガス給湯器を使用する際の注意点と正しい使い方が分かります。気になっている方はぜひチェックしてください。

1.ガス給湯器は停電時も使えるのか?

停電したときに、ガス給湯器は使えるのでしょうか。ここでは、停電時に使える機種・使えない機種の特徴について解説します。

1-1.停電時はほとんどのガス給湯器が使えない!?

ガスを使用してお湯を沸かすガス給湯器は、電気なしでも使えると思われがちですが、停電時にはほとんどのガス給湯器が使用できなくなります。なぜなら、リモコン自体が反応しなくなるからです。特に、オール電化にしている家庭は、電気が復旧しなければガス給湯器も使えないままになるでしょう。

1-2.使えないものは通信機能つきのガス給湯器

最近のガス給湯器には、ガスメーター自体に最新の通信機能がついています。実は、この通信機能がついているタイプは、停電時に使えなくなるので要注意です。ガスの供給事態がストップするため、電気が復旧しなければガスが供給されません。

1-3.100Vの電源が必要な機器も使えない

給湯器・暖房機器など100Vの電源を使用している器具も停電中は基本的に使用できなくなります。たとえば、暖房風呂給湯器・風呂給湯器やファンヒーター、浴室暖房乾燥機・ミストサウナ、ガスオーブン、ガス温水暖房、エコウィル、エネファームなどです。ただし、エネファームはオプションで停電対応システムの販売を行っているメーカーもあります。

1-4.停電モードのあるガス給湯器なら使える

ガス給湯器の中には、停電時でも使用できる機種があります。代表的な機種は、停電モード搭載型です。万が一、停電となった場合でも停電対応ユニットを自動車のアクセサリーソケットに接続するだけで給湯を使用することができます。ただし、ガスと水道が使用可能な状態で、給湯能能力が限定されている点が条件です。また、湯張り・追い焚(だ)き・温水暖房は使用できません。停電モード搭載のガス給湯器を使用する際は、事前に使用条件をきちんと把握しておく必要があります。

1-5.注目されている自立型エコジョーズ

「停電時でも使える!」と、最近注目されているのがエコ給湯器とも呼ばれているエコジョーズです。エコジョーズは、排熱を回収して再利用し、熱交換率を従来の給湯器より約15%高めることができます。そのため、省エネ・省コストを実現したガス給湯器なのです。停電中でも使えるタイプは、停電時自立型エコジョーズと呼ばれ、バックアップ用の電源ユニットを内蔵しています。4人家族の場合、1日1回、3日間まで給湯とシャワーが使えるのです。さらに、電源ユニットには100Vコンセントがついているため、携帯電話やスマホなどの充電もできます。

2.停電時のガス給湯器に関する注意点

停電時にガス給湯器を使用する場合は、十分に注意して使わなければなりません。それでは、具体的な注意点についてチェックしていきましょう。

2-1.十分な換気をして使用する

停電によって換気扇が使用できなくなります。換気が不十分な状態でガス給湯器を使用すると、不完全燃焼を起こし一酸化炭素中毒になる恐れがあるので、十分に換気をしながら使うのが基本です。ガス給湯器を使用する前に、窓を全開にし空気の通り道を作っておきましょう。また、1時間に1~2回程度を目安に窓を開けて、換気を行ってくださいね。

2-2.ヤケドとケガに要注意

夜間や早朝の停電時は、周囲が暗いのでガス給湯器の操作を間違える可能性があります。その結果、誤って高温になっている場所に触れてヤケドをしてしまうのです。また、床に散らかったものにつまずいて転んだり、ガス給湯器自体が転倒したりすることもあります。災害時でなくても停電の際は、十分に注意してください。

2-3.計画停電の場合はスイッチをオフにしておく

大規模な停電を回避するため、あらかじめ電力の供給を一時停止する計画停電の場合も、ガス給湯器の使い方に注意が必要です。計画停電時はほとんどの給湯器が使えなくなるため、あらかじめスイッチをオフにしておきましょう。ガスの元栓を閉じ、スイッチやつまみをガスが止まる位置に戻します。災害時などに起きる急な停電は、ガス給湯器の不具合につながる可能性があるため、事前にスイッチをオフにしておかなければなりません。

2-4.冬場や寒冷地域は凍結に注意しよう

給湯器は停電時に凍結予防ヒーターが作動しません。追い焚き回路のポンプ運動による凍結予防もできなくなるため、停電すると凍結するおそれがあります。特に、外気が零下に近い温度となる寒冷地域はすぐに凍結し、機器の故障につながる可能性があるのです。もし、凍結した場合は、取扱説明書に従い、機器内の水抜きを行ってください。

3.ガス給湯器の停電後の対応を解説

電気が復旧した後も、ガス給湯器の使い方に十分な注意が必要です。押さえておきたいポイントを紹介するので、ぜひチェックしてください。

3-1.ガスのにおいがしたときは業者へ連絡する

停電から復旧した際に、ガスのにおいがしたときは要注意です。ガス臭い場合は、給湯器からガスが漏れている可能性があります。一酸化炭素中毒にならないように、まずは窓を全開にし換気しましょう。そして、すぐに給湯器業者またはメーカーへ連絡してください。ここで、絶対にやってはいけないのは、自分で何とかしようとすることです。ガスは発火性のある危険な性質を持っているため、爆発・火事を起こす可能性があります。無理に扱わず、専門業者へ相談するのが1番です。

3-2.リモコンのエラー表示をチェックしよう

電気が復旧すれば、すぐにガス給湯器を使うことができますが、エラーが表示されることがあります。リモコンにエラー番号が表示されるので、その番号が何の意味を示しているのか取扱説明書で確認してください。手元に取扱説明書がない場合は、給湯器メーカーのホームページでも記載されています。リモコンにエラー番号が表示されていない・エラーの原因が分からない場合は、ガス機器販売店やガス会社に相談しましょう。

3-3.時間や温度などの再設定が必要なときも

給湯器のリモコンなど設定や機能が初期値に戻ったり、各種設定が再度必要になる場合があります。各メーカーによって設定方法が異なるため、取扱説明書などを読んで再設定してください。基本的に、リモコンの温度設定ボタンで時刻を設定することができます。こちらも設定方法が分からない場合は、給湯器メーカーに問い合わせてください。

3-4.アース工事がされていない場合は復旧しない?

落雷などによる停電の場合、アース工事がきちんとされていない給湯器は電気が復旧しても動作しないということがあります。アース工事は家電と地面をつなげる工事のことで、漏電の際に感電を防ぎ、家電から発生する電磁波の影響をなくす点がメリットです。つまり、アース工事をきちんとしていない給湯器は、落雷で基盤の故障につながり、動作しないということになります。この場合、素人では対処できません。

3-5.給湯器が直らないときは業者へ依頼する

電気が復旧してもガス給湯器が使えない場合は、何かしらの原因で故障の可能性があります。その場合は、給湯器を扱っている業者へ連絡してください。給湯器が保証期間内であれば、購入先の会社へ連絡し、無償で修理・メンテナンスしてもらえることもあります。

3-6.知っておきたいよくある故障の症状

停電の復旧後に起こりやすい給湯器の故障でよくある症状を以下にピックアップしてみました。停電に限らず、給湯器の故障でもよくある症状となっているので、ぜひ参考にしてください。

  • お湯も水も出ない
  • お湯にならない
  • 温度が安定しない
  • リモコンが使えない
  • 異音がする
  • 煙が出たり、においがする

4.停電後のガス給湯器に関してよくある質問

停電時のガス給湯器に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.停電時にお湯が出なくなった理由は?
A.リモコンのスイッチをオンにすると、使える場合があります。「お湯が出ない」と給湯器本体を見てみると、きちんと作動しているか分からないでしょう。そんなときは、リモコンを確認するのが1番です。停電したときはパニックになっているので、お湯が出なくなると故障と決めつける方が多いのですが、リモコンをオンにするとお湯が出てくるケースがあります。まずは、リモコンのスイッチをオンにして、電源を入れてみてください。停電したために、ガス給湯器のリモコンの運転が切れています。リモコンの運転をオンにしてもお湯が出ないなら、業者へ相談したほうがいいでしょう。

Q.停電中に使用できる機器はどんなものか?
A.台所で使用することが多い小型湯沸かし器などガス温水機器は、停電中でも難なく使用できるケースがほとんどです。今はほとんど使用されていませんが、BF式とCF式の風呂がまも使用できます。また、市販されている多くが電池着火式のガスコンロも使えるでしょう。東日本大震災の後、停電中でも使えるガス給湯器の開発・販売が進んでいるため、給湯器の寿命を機会に買い替えを検討するのも手段の1つです。

Q.LPガスと都市ガスどちらが停電時に有利なのか?
A.都市ガスの場合、必要なときにガス会社からガス管を通して供給されるため、ガスが復旧しなければ供給されず使用不可となります。一方、LPガスは定期的に、LPガスが入ったボンベを事業者が配送する仕組みです。残量分が常に備蓄されていることになるため、ガス設備が損傷していない限り、LPガスはいつも備蓄され利用できます。また、LPガスはガソリンや灯油などと違い、長期間保存しても劣化しない点が特徴です。東日本大震災の後、LPガスで電気をつくるLPガス発電機を購入する家庭や施設が増えつつあります。

Q.ガスの使用を再開するとき、安全確認の仕方は?
A.まず、ガス漏れがガスのにおいがしていないか確認してください。もし、ガスが漏れている場合は、すぐに換気を行い、ガスメーターバルブやガス元栓をすべて閉め、業者へ連絡します。また、できる限りで構いませんので、ガス給湯器に損傷がないかもチェックしましょう。損傷していたときは、ガスを使用せず器具メーカーへ修理を依頼します。少しでも異変を感じたときは、ガスを使用しないことが1番の大切なポイントです。

Q.給湯器業者選びのポイントは?
A.ガス給湯器が使えなくなるとお湯が出ず、風呂に入ることもできません。生活に支障をきたさないためにも、できるだけすぐに対応してくれる業者へ依頼しましょう。即日対応が可能な業者なら、すぐに点検・修理をしてくれます。また、故障した場合、すぐ交換ができるよう、さまざまな種類の給湯器を扱っているかどうかも重要なポイントです。

まとめ

停電時の給湯器は、通信機能がついているか、停電時モードが搭載されているかなど、機能の有無によって使用できるかどうかが異なります。停電時でも安心して使いたい方は、停電時モードなど最新機能が搭載されている給湯器への買い替えがおすすめです。また、きちんと停電時の給湯器の使い方を把握しておけば、復旧時に安心して使うことができます。間違った扱い方をすると、給湯器本体の故障につながるので十分に注意してくださいね。どうしても使えない場合は、給湯器の修理業者へ依頼しましょう。